いびきの原因とは?治療が必要ないびきの種類と対策方法

いびきの原因とは?治療が必要ないびきの種類と対策方法

志木新成メディカルクリニックでは、呼吸器内科の診療をしており、その中でも睡眠時無呼吸症候群の方に多い症状として寝ているときのいびきの異常があります。いびきは「眠っている間の呼吸音」として軽視されがちですが、その背景には医学的に治療が必要な疾患が隠れている場合もあります。特に「いびきが止まる」「呼吸が苦しそうに見える」といった症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があり、放置すると高血圧や心疾患、脳卒中のリスクが高まります。

この記事では、いびきの原因を医学的に詳しく解説し、その原因に応じた治療方法について具体的に紹介します。

朝霞市・東武東上線「志木駅」徒歩4分、広い駐車場ありの「志木新成メディカルクリニック」の睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来では、いびきや呼吸、昼間の眠気のことでお悩みや心配がある方は、お気軽にご相談ください。

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いびきの原因はどこにあるのか?

いびきは「空気の通り道(上気道)」が狭くなることで、振動音として発生します。主な原因は以下の通りです。

原因の種類メカニズム特徴的ないびきの症状
肥満・脂肪沈着首や咽頭周囲の脂肪が気道を圧迫太った体型、仰向けで悪化
舌根沈下睡眠中に舌が喉奥に落ち込む急に呼吸が止まる、睡眠時無呼吸と関連
鼻疾患(鼻炎・鼻中隔弯曲)鼻の通気障害により口呼吸が増える鼻づまり時に悪化、風邪やアレルギーで変動
咽頭・口蓋の形態口蓋垂(のどちんこ)や軟口蓋の過長ゴーゴーとうるさい持続的ないびき
睡眠中の筋緊張低下加齢・飲酒・睡眠薬で筋肉が緩む高齢者に多い、夜間アルコール後に悪化

肥満・脂肪沈着によるいびき

体重が増えると首や咽頭の周囲に脂肪が沈着し、気道を圧迫します。そのため空気の通り道が狭くなり、呼吸のたびに軟口蓋や咽頭の粘膜が振動していびきが生じます。特に仰向けに寝ると脂肪による圧迫が強まり、いびきが悪化する傾向があります。このタイプのいびきは、体重管理や運動習慣の改善で軽減できることが多いですが、重度になると睡眠時無呼吸症候群を引き起こす可能性も高まります。

舌根沈下によるいびき

睡眠中は筋肉の緊張が低下するため、舌が重力で喉の奥に落ち込みやすくなります。これを舌根沈下と呼び、気道を部分的に塞いでいびきを生じさせます。特に深い睡眠に入ったときや、アルコール摂取後に筋肉がゆるむと顕著になります。舌根沈下が強いと呼吸が完全に止まってしまい、睡眠時無呼吸症候群の典型的な原因となります。夜間に呼吸が止まる、または「グゴッ」と大きないびきで再開する場合は要注意です。

舌根沈下でいびき

鼻疾患(鼻炎・鼻中隔弯曲)によるいびき

鼻づまりや鼻中隔のゆがみによって鼻の通気が悪くなると、人は無意識に口呼吸をするようになります。口呼吸では喉の奥が乾燥し、気道が狭くなるため、いびきが生じやすくなります。風邪やアレルギー性鼻炎で一時的に悪化するケースもあれば、鼻中隔弯曲や慢性副鼻腔炎といった構造的・慢性的な要因によって習慣的ないびきにつながることもあります。この場合は耳鼻咽喉科での治療と並行していきます。

咽頭・口蓋の形態によるいびき

喉の奥にある口蓋垂(のどちんこ)や軟口蓋が長かったり厚かったりすると、呼吸のたびに強く振動し、ゴーゴーという持続的な大きないびきを生じます。特に家族から「いびきがうるさくて眠れない」と指摘されるタイプの人は、この形態が関与していることが少なくありません。構造的な問題であるため、生活習慣改善だけでは十分に抑えられず、レーザー治療や口蓋形成術など医療的介入が検討されることもあります。

睡眠中の筋緊張低下によるいびき

加齢やアルコール、睡眠薬などの影響で咽頭周囲の筋肉が過度に弛緩すると、気道が狭くなりいびきを引き起こします。高齢者に多くみられ、若い頃はいびきをかかなかったのに年齢とともに顕著になる人もいます。

特に就寝前の飲酒後には筋肉のゆるみが強くなり、いびきが悪化するのが特徴です。このタイプのいびきは体位の工夫や生活習慣の見直しで軽減することが多いですが、進行すると舌根沈下と同様に無呼吸を伴うことがあるため注意が必要です。

治療が必要ないびきの種類とは?

いびきはすべてが病気のサインというわけではありません。疲れているときや風邪で鼻づまりがあるときなど、一時的に起こるいびきは、体調が戻れば自然に改善することもあります。しかし、中には放置すると命に関わる病気につながる「危険ないびき」も存在します。ここでは、医療機関での治療が必要となる代表的ないびきの種類を詳しく解説します。

いびきのタイプ特徴医療相談の目安
一時的ないびき疲労・風邪・飲酒の時だけ体調が戻れば改善
無呼吸を伴ういびきいびきが止まる、再開時に大きな音受診必須
強い日中の眠気を伴ういびき居眠り、集中力低下、事故リスク受診必須
生活習慣病と合併するいびき高血圧・糖尿病・心疾患あり受診必須
子どものいびき成長・学習への影響リスク受診必須
アルコールやストレスで悪化するいびき翌日も続く・頻繁に起こる医師に相談推奨

無呼吸を伴ういびき

睡眠中に「ガーッ」という大きないびきが急に止まり、数秒~数十秒後に「グゴッ」と大きな音を立てて再び呼吸が始まる場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。

これは舌や軟口蓋が気道を完全に塞いでしまい、呼吸が一時的に停止している状態です。夜間に何度も繰り返されると、酸素不足から心臓や脳に大きな負担を与えます。高血圧や不整脈、心筋梗塞、脳梗塞といった重篤な病気のリスクを高めるため、必ず治療が必要です。

日中の強い眠気を伴ういびき

「夜は寝ているはずなのに昼間に強い眠気がある」「会議中や運転中にウトウトしてしまう」という人は、いびきによって睡眠の質が大きく低下している可能性があります。

これは単なる音の問題ではなく、脳や体が十分に休めていないことを意味します。特に運転中の居眠りは重大事故につながるため、日常生活に支障をきたす眠気を伴ういびきは治療の対象となります。

高血圧や糖尿病など生活習慣病と合併するいびき

生活習慣病といびきは密接に関係しています。睡眠時無呼吸があると夜間の酸素不足が繰り返され、自律神経やホルモンのバランスが乱れます。その結果、血圧や血糖値のコントロールが難しくなり、動脈硬化やメタボリックシンドロームを悪化させます。

特に「生活習慣病がある人のいびき」は、合併症の進行リスクを高めるため、医師による評価と治療が必要です。

子どものいびき

子どものいびきは「かわいい」と思われることもありますが、実は注意が必要です。アデノイド肥大や扁桃肥大によって気道が狭くなり、睡眠時無呼吸を起こすことがあります。放置すると、成長障害や学習能力の低下、注意欠陥(ADHD様の症状)につながると報告されています。大人と同じように、子どものいびきも医療機関での検査が必要です。

ストレスやアルコールで悪化するいびき

一見すると生活習慣の問題に見えますが、アルコール摂取や強いストレス後に増えるいびきも、背後に「気道の脆弱性」や「筋肉の緩み」が隠れている場合があります。飲酒を控えても改善しない、あるいは急に大きないびきが出るようになった場合は、一度専門医に相談するのが安心です。

いびきの治療方法

いびきの治療は原因によって大きく異なります。単なる生活習慣の見直しで改善する場合もあれば、専門的な医療機器や手術が必要になる場合もあります。ここでは、生活習慣の改善から医療的介入まで、順を追って詳しく解説します。

生活習慣の改善による治療

まず基本となるのは生活習慣の見直しです。体重の増加は咽頭周囲の脂肪沈着を招き、気道を狭くする大きな要因となります。そのため、適正体重に近づけるだけでいびきが大幅に改善することは珍しくありません。さらに、睡眠時の体位も重要です。仰向けで寝ると舌が重力で喉の奥に落ち込みやすくなりますが、横向きに寝るだけで気道の閉塞を防げることがあります。また、枕の高さを調整することも呼吸の通りを改善する要素で、高すぎる枕は気道を折り曲げ、逆に低すぎる枕は舌の落ち込みを助長するため注意が必要です。

生活習慣の改善という観点では、就寝前の飲酒を控えることも欠かせません。アルコールは筋肉の緊張を緩めるため、喉の奥がより狭くなりいびきが悪化します。同様に、睡眠薬の一部も筋弛緩作用を持つため、服薬内容を医師と確認することが望まれます。

マウスピース(口腔内装置)による治療

歯科や耳鼻咽喉科で作成されるマウスピース(口腔内装置:OA)は、下顎を少し前に固定することで舌の落ち込みを防ぎ、上気道を広げる働きがあります。軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群や、単純性のいびきに広く用いられており、装着するだけでいびきが劇的に減る方もいます。特に診断に基づいて作成されたものは保険が適用されるため、患者にとって現実的で負担の少ない治療方法といえます。

CPAP(持続的陽圧呼吸療法)

中等度以上の睡眠時無呼吸症候群に対しては、CPAP(シーパップ)療法が第一選択とされています。これは鼻に装着するマスクから空気を送り込み、気道が閉じないように圧をかけ続ける治療法です。

夜間の呼吸停止を防ぐ効果は非常に高く、いびきの改善だけでなく、日中の眠気や生活習慣病の進行リスクを大幅に下げることが示されています。医師の診断に基づく処方が必要ですが、日本では健康保険が適用されるため、広く利用されています。

CPAP(シーパップ)療法

レーザー治療や手術的治療

口蓋垂や軟口蓋の形態に問題がある場合には、外科的なアプローチが選択されることもあります。レーザー治療では、余分な粘膜組織を収縮させることで気道を広げ、振動の発生を抑えます。これは比較的負担の少ない処置ですが、症状の程度によっては十分な効果が得られないこともあります。一方で、口蓋垂や軟口蓋を切除・形成するUPPP(口蓋垂口蓋咽頭形成術)は、重症例に対して行われる根本的な治療法です。ただし、術後の痛みや合併症リスクもあり、適応の見極めには専門医の判断が不可欠です。

薬物による治療

薬物療法はいびきそのものを直接治すものではありませんが、鼻づまりやアレルギーが原因の場合には有効です。アレルギー性鼻炎に対しては点鼻ステロイドや抗ヒスタミン薬が使われ、鼻の通りを良くすることで口呼吸を防ぎ、いびきを軽減します。風邪や副鼻腔炎による一時的ないびきにも、鼻炎治療薬が補助的に役立つことがあります。ただし、睡眠薬を安易に使うと逆にいびきを悪化させる場合があるため、自己判断での使用は避けるべきです。

子どものいびきに対する治療

子どものいびきはアデノイドや扁桃腺の肥大が原因となることが多く、成長や学習に影響を及ぼす可能性があるため特に注意が必要です。この場合には耳鼻咽喉科での精査が行われ、必要に応じて扁桃摘出やアデノイド切除といった手術が検討されます。大人とは異なり、早期に介入することで発達への悪影響を防ぐことができるため、早めの受診が勧められます。

市販の治療器具・対策グッズの注意点

マウステーピング(口テープを貼る方法)

マウステーピング(口テープを貼る方法)は、いびき対策として市販されている方法のひとつです。ただし医学的に見ると「万能な治療法」というよりも、補助的なセルフケアの位置づけになります。

マウステーピングとは、寝る前に口に専用のテープを貼り、睡眠中に口が開かないようにする方法です。これにより口呼吸を防ぎ、鼻呼吸を促すことでいびきを軽減しようというものです。ドラッグストアや通販でも「いびき対策テープ」「口閉じテープ」として販売されています。

マウステーピングで口を閉じる習慣をつけると、鼻呼吸が安定し、喉の乾燥や軽いいびきの改善につながる可能性があります。特に鼻づまりがない人にとっては、比較的簡単に試せる対策方法です。朝起きたときの口の渇きが軽減したと感じる方も少なくありません。

ただし、マウステーピングはすべてのいびきに有効なわけではありません。鼻で呼吸できない状態で口を塞ぐと窒息の危険がある他、口呼吸が原因でいびきが大きいという人以外には根本的な対策や治療にはなりません。無呼吸を伴ういびきや強い日中の眠気がある場合は、マウステーピングで対応せず、専門医に相談することを強くおすすめします。

すぐにできるセルフケアと医療相談の目安(セルフチェック表)

いびきは、生活の工夫で軽減できる場合と、専門的な治療が必要な場合があります。自分のいびきがどのレベルなのかを知ることが大切です。ここではまず家庭でできるセルフケアを紹介し、あわせて医療機関の受診を検討すべき目安をセルフチェック表で整理します。

セルフケアでいびきを改善できる方法

体重管理はもっとも基本的な対策です。首や喉の脂肪が減ると、空気の通り道が広がりいびきが軽くなることがあります。睡眠時の体位を工夫することも効果的で、仰向けでは舌が落ち込みやすいため、抱き枕を使って横向きで眠ると呼吸が安定しやすくなります。枕の高さも重要で、高すぎず低すぎない首を支える形状を選ぶとよいでしょう。また、就寝前のアルコールは筋肉を弛緩させていびきを悪化させるため、飲酒習慣を見直すことが推奨されます。鼻づまりがある人は、市販の点鼻薬ではなく、耳鼻科で根本的な治療を受けることが望ましいです。

医療相談の目安

「一時的ないびき」であればセルフケアで様子を見ても問題ありませんが、次のような場合はいびきが単なる習慣ではなく病気のサインである可能性が高いため、早めの受診が必要です。

いびきセルフチェック表

質問はいいいえ
睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがある
日中に強い眠気があり、仕事中や運転中にウトウトしてしまう
高血圧や糖尿病などの生活習慣病を指摘されている
毎晩いびきをかき、熟睡していないように見える
枕や体位を工夫しても改善しない、いびきが長期間続いている

判定の目安

「はい」が一つでもある場合は、睡眠時無呼吸症候群などの疾患が隠れている可能性があります。特に呼吸の停止や日中の強い眠気を伴う場合は早急に医療機関を受診することをおすすめします。「いいえ」しかない場合は、まずは生活習慣の改善を続けながら経過を観察するとよいでしょう。

まとめ

いびきは単なる生活習慣の問題から、心臓や脳に負担を与える病気のサインまで、幅広い原因があります。
軽度であれば枕の調整や横向き寝などで改善する場合もありますが、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性も見逃せません。

「最近いびきがうるさいと言われる」「呼吸が止まっている気がする」と感じる方は、早めに呼吸器内科や睡眠時無呼吸専門外来で相談してください。

志木新成メディカルクリニックは、
朝霞市にあり、東武東上線「志木駅」から徒歩4分、駐車場も完備。
電車でも車でも通いやすいクリニックです。

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