膝のヒアルロン酸注射の効果と副作用・デメリット|回数と持続期間

膝の痛みが続くと、歩くこと、階段の上り下り、立ち上がる動作に支障が出ます。整形外科でよく行われる治療のひとつが、膝関節内への「ヒアルロン酸注射」です。
朝霞市・東武東上線「志木駅」近くにある志木新成メディカルクリニックの整形外科でも、変形性膝関節症などによる膝の痛みに対して、関節内注射を治療の選択肢としています。
どのくらい効くのか、何回打つのか、副作用やデメリットはあるのか、打ち続けて大丈夫なのか。こうした不安を持つ方は少なくありません。この記事では添付文書やガイドラインをもとに、効き始める時期と持続期間、回数と間隔、副作用とデメリット、注射後に気をつけること、効果が十分でないときの選択肢を順に整理します。
膝のヒアルロン酸注射とはどのような治療か
ヒアルロン酸は関節液や軟骨にもともと含まれている成分で、粘り気と弾力を持っています。膝関節の中に注入することで関節液の粘弾性を補い、関節の動きをなめらかにすることを目的とした治療です。関節内の炎症に関わる物質の働きを抑える作用も報告されています。
すり減った軟骨が元の状態に戻る治療ではありません。関節の変形そのものを治すものではなく、痛みや動かしにくさをやわらげることを目的とした対症療法です。
美容目的のヒアルロン酸注射とは別の治療です
同じ「ヒアルロン酸注射」という言葉を使いますが、しわやくぼみに対して皮膚へ注入する美容目的の治療とは、使う製剤も目的も保険の扱いも異なります。この記事で扱うのは、膝などの関節内に注入する整形外科の治療です。
公的医療保険の対象となる治療です

膝関節内へのヒアルロン酸注射は変形性膝関節症などに対して公的医療保険の対象として行われています。整形外科で使われる製剤の一例が、精製ヒアルロン酸ナトリウムを成分とする「アルツディスポ関節注25mg」です。添付文書では変形性膝関節症が効能・効果として定められています。
自己負担額は保険の負担割合、診察やレントゲンなどの検査、関節液を抜く処置を同時に行うかどうかによって変わります。具体的な金額は診察の際にご確認ください。
効果はいつから出てどれくらい続くのか
1回の注射で十分な改善が得られるとは限りません。投与回数や間隔は製剤によって異なり、効果と副作用を確認しながら継続を判断します。
効き始める時期と効果が続く期間
効果が得られる場合でも、改善に気づくまで数週間かかったり、症状の軽減が数か月続いたりすることがあります。効き始める時期や効果が続く期間は、使う製剤や膝の状態によって異なります。十分な改善が得られないこともあるため、治療を続けるかどうかは効果を確認しながら判断します。
アルツディスポ関節注25mgの回数と間隔
製剤や治療対象によって用法が異なるため、ここでは「アルツディスポ関節注25mg」を変形性膝関節症に使用する場合を説明します。添付文書では通常、成人に1回1シリンジを1週間ごとに連続5回投与し、症状により投与回数を適宜増減するとされています。
改善が認められない場合は、5回を限度に投与を中止するとされています。これは効果がなくても必ず5回受けるという意味ではありません。継続、間隔の調整、中止は、効果と副作用、膝の状態を確認して医師が判断します。
効果の評価はガイドラインによって異なります
日本整形外科学会の「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」では、ヒアルロン酸関節内注射について、実施を提案する「弱い推奨」としています。一方、米国整形外科学会(AAOS)の2021年ガイドラインでは、症状のある変形性膝関節症への一律の通常使用は推奨していません。
ご自身の痛みや歩行への効果、通院負担、副作用を確認し、運動療法なども含めて治療方針を相談することが大切です。
ステロイド注射との違い
膝関節に用いられる注射には、ヒアルロン酸のほかにステロイドもあります。目的が異なるため、膝の状態に応じて使い分けます。
| 注射の種類 | 主な目的 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| ヒアルロン酸注射 | 関節液の粘弾性を補い、動きをなめらかにする | 効果を感じるまで時間がかかる場合があり、複数回の通院が必要になることがある。回数や間隔は製剤によって異なる |
| ステロイド注射 | 強い炎症や腫れを抑える | 繰り返すと軟骨や腱への影響が指摘されている。糖尿病のある方では一時的に血糖値が上がることがある |
ステロイドは炎症を抑える力が強く、腫れや痛みが強いときに使われる注射です。ただし、頻回の使用は避けるべきとされています。どちらが優れているというものではなく、そのときの症状、持病、過去に受けた治療の効果をもとに選びます。糖尿病の治療を受けている方は、血糖値への影響があるため、診察のときにお伝えください。
副作用とデメリット
関節内に針を刺す処置であるため、リスクがまったくないわけではありません。添付文書に記載されている内容を整理します。
添付文書に記載されている副作用
以下は、アルツディスポ関節注25mgの添付文書に記載された主な副作用の抜粋です。副作用の種類や頻度は製剤によって異なります。
| 頻度 | 主な内容 |
|---|---|
| 0.1〜5%未満 | 注射した関節の痛み(多くは注射後の一過性の痛み)、熱感、その部分の重苦しさ |
| 頻度不明 | 発疹やかゆみ、顔面などのむくみといった過敏症、注射した関節の腫れ、関節液の増加、発赤、関節周囲のしびれ感、吐き気、発熱、倦怠感など |
| 重大な副作用 | ショック(頻度不明) |
比較的多いのは、注射したあとに膝が痛む、熱っぽく感じる、重苦しく感じるといった反応です。ショックについては添付文書に頻度不明の重大な副作用として記載されています。起こる頻度は明らかになっていません。
注射する関節の部分に皮膚の病気や感染がある場合は、注射を避けるか慎重に判断することとされています。膝の皮膚に傷や湿疹、赤みがあるときは、診察のときにお伝えください。
すぐに連絡が必要な症状
関節内注射では、頻度はまれですが関節の感染が起こる可能性があります。関節の感染は発熱がなくても起こります。次のような症状があるときは、発熱の有無や日数にかかわらず、注射を受けた医療機関へ連絡してください。
| 症状 | 対応 |
|---|---|
| 膝に強い腫れ・熱感・赤みがある | すぐ連絡してください |
| 痛みが増している、安静にしていても強くなる | すぐ連絡してください |
| 膝をほとんど動かせない、体重をかけられない | すぐ連絡してください |
| 発熱や悪寒をともなう | すぐ連絡してください |
| 息苦しさ、喉や舌の腫れ、意識がもうろうとする | すぐに119番通報してください |
連絡がつかない場合や診療時間外は、救急対応が可能な医療機関へ相談・受診してください。注射後の一時的な炎症による痛みと、感染による痛みを、ご自身で見分けることはできません。様子を見る日数を決めて待つのではなく、痛みが強い場合や悪化している場合は、その時点で連絡してください。
治療としてのデメリット
副作用とは別に、通院や効果の面での負担もあります。はじめのうちは通院の回数が必要になり、時間の負担があります。
注射だけに頼らず、変形性膝関節症そのものに対する運動療法や体重管理を並行して進めることが、長い目で見たときに重要になります。
注射のときの痛みと注射後の痛み
注射のときに感じる痛みの程度は、関節の状態や腫れの有無、針の太さ、手技によって変わります。刺すときの痛みと、薬液が入るときの張るような感覚で終わる方もいれば、強く痛みを感じる方もいます。
注射のあとに痛みが強まることもあります。一時的な反応の場合もありますが、症状だけで原因を判断することはできません。痛みが増していく、膝が強く腫れる・赤くなる・熱をもつ、体重をかけられない場合は、発熱がなくても速やかに医療機関へ連絡してください。
痛みへの不安が強い場合は、注射の前に医師へお伝えください。関節液を抜いてから注入する、体勢を調整するなど、負担を少なくする工夫ができる場合があります。注射を受けるかどうかも含めて、相談しながら決めていきます。
注射の後に気をつけること
添付文書では、注射後に投与した部分の痛みが出ることがあるため、局所の安静を保つこととされています。一般的な目安は次のとおりです。
| 項目 | 一般的な目安 |
|---|---|
| 運動と膝への負担 | 長い距離を歩く、走る、しゃがむ動作を繰り返すといった膝に負担の大きい動きはしばらく控えます。控える期間は治療を受けた医療機関の指示に従ってください |
| 入浴 | 注射当日のシャワーや入浴の可否、再開する時期は、治療を受けた医療機関の指示に従ってください |
| 注射した部分 | 強く押す、もむといった刺激は避けます |
| 冷やす・温める | 腫れや熱感があるときは軽く冷やすと楽になることがあります。熱感がなければ積極的に温める必要はありません |
| リハビリや運動 | 痛みや腫れが落ち着いてから、膝に負担の少ない方法で進めます |
これらは一般的な目安です。実際には治療を受けた医療機関の指示に従ってください。
注射で痛みが軽くなっている状態での運動には注意が必要です。痛みが減っても膝の組織の状態が変わったわけではないため、急に負荷の高い運動を始めると症状が悪化することがあります。どのように体を動かすとよいかは、診察やリハビリの場で確認しながら進めてください。
膝に水が溜まっている場合
膝に「水が溜まる」といわれるのは、関節液が過剰に増えている状態です。添付文書では、投与する関節の炎症や関節液の貯留が著しい場合、注射によって局所の炎症症状が悪化することがあるため、炎症症状を抑えてから投与することが望ましいとされています。そのため、先に関節液を抜く、炎症を抑える治療を行うなど、膝の状態を整えてから注射する場合があります。
関節液が繰り返し溜まる背景には、炎症や軟骨の摩耗といった慢性的な要因があります。注射によって水が二度と溜まらなくなるとはいえません。繰り返す場合は、何が炎症を起こしているのかをあらためて確認します。
効果が十分でないときの選択肢
注射を続けても膝の痛みが変わらない場合、注射以外の治療を検討し、必要に応じて痛みの原因を調べ直します。
注射以外の保存療法
体重管理は膝にかかる負担を減らす方法として重視されます。太ももの前後の筋力をつけることで関節が安定し、痛みが減ることも期待されます。O脚傾向がある方や片側の関節に負担が集中している方には、サポーターや足底板を用いて荷重のかかる位置を調整する方法もあります。内服薬や湿布薬、物理療法も併用されます。
痛み止めの飲み薬や注射については、整形外科で行う痛み止め注射の種類と効果でも解説しています。
変形性膝関節症以外の原因もあります
膝の痛みの原因は変形性膝関節症だけではありません。半月板や靱帯の損傷、関節リウマチなどの炎症性の病気、感染による関節炎などでも膝が痛みます。両膝や他の関節も痛む、朝に強いこわばりがある、発熱がある、短期間で急に悪くなったという場合は、関節の変形以外の原因を考える必要があります。
当院はリウマチ・膠原病科も診療しており、リウマチ専門医が対応します。関節の痛みの原因と受診の目安もあわせてご確認ください。
手術を検討する場合
保存療法や注射で十分な効果が得られず、痛みや歩行の障害が生活に大きく影響している場合は、進行度に応じて手術が検討されます。進行した変形性膝関節症に対しては、人工膝関節置換術などが選択肢となります。
関節鏡による処置は変形性膝関節症そのものに対する次の段階の治療として行われるものではありません。半月板損傷など、関節鏡が適している病態がある場合に検討されます。手術が必要と考えられる場合は、適切な医療機関へご紹介します。
体験談や口コミを読むときに気をつけたいこと
膝のヒアルロン酸注射について調べていると、効いた、効かなかった、強く痛んだといった個人の体験に関する情報を目にすることがあります。
膝の痛みの原因、変形の程度、炎症の強さ、年齢や体格、同時に行っている治療は人によって大きく異なります。ある方の経過がそのままご自身に当てはまるとは限りません。
ご自身の膝について判断する際は、診察とレントゲンなどの検査にもとづいて、医師と一緒に確認していただくことをおすすめします。
受診の流れ
はじめに問診で、いつから痛むのか、どの動作でつらいのか、腫れや熱感があるかを確認します。次に膝を診察し、レントゲンや超音波検査で関節のすき間、骨の変化、関節液の量などを調べます。これらをもとに、注射が適しているか、ほかの治療を優先すべきかを判断します。
注射そのものは数分で終わります。関節内に針を刺すため、無菌的な操作のもとで行います。治療を続ける場合は、効果の出方を確認しながら回数や間隔を調整します。
当院の整形外科は年齢の制限を設けず診療しています。膝の痛みが気になる方、ほかの医療機関でヒアルロン酸注射を受けていて続けるか迷っている方も、お気軽にご相談ください。WEB予約またはお電話でご予約いただけます。発熱や咳などの症状がある方は、来院前にお電話ください。
よくある質問
回数の決まりは製剤によって異なります。アルツディスポ関節注25mgの添付文書では、1週間ごとに連続5回が基本の使い方とされています。効果があって継続する場合の回数に明確な上限は示されておらず、膝の状態と効果をみて医師が判断します。
ヒアルロン酸注射を続けるかどうかは、痛みや歩行への効果、副作用、膝の状態を確認して判断します。注射には感染や局所の炎症などのリスクがあるため、効果を感じないまま漫然と続けることは避け、運動療法なども含めて治療方針を見直すことが大切です。
注射当日のシャワーや入浴の可否、再開する時期は、治療を受けた医療機関の指示に従ってください。
注射後の歩行は、膝の状態と医療機関の指示に合わせてください。歩行が許可された場合も必要な移動にとどめ、痛みが増す場合は無理をしないでください。長い距離を歩く、走る、重い物を持つといった膝に負担の大きい動きを控える期間も、同じく指示に従ってください。
関節の炎症や関節液の貯留が著しいまま注射すると、局所の炎症症状が悪化することがあるためです。また、増えた関節液を調べることで、炎症の程度や原因を確認できる場合もあります。
飲んでいるサプリメントの成分、ほかに使っている薬、持病を確認したうえで判断します。受診の際に、お薬手帳や商品のパッケージなど、成分がわかるものをお持ちください。グルコサミンやコンドロイチンなどを含むサプリメントについては、膝の痛みへの治療効果が明確に示されているとはいえません。
注射は痛みをやわらげる対症療法ですので、やめたあとに痛みが戻ってくることがあります。一方で、運動療法や体重管理によって症状が安定し、注射の間隔をあけられる場合もあります。やめるかどうかは痛みの程度と生活への影響をみて判断します。自己判断で中断する前に、一度ご相談ください。
まとめ
膝のヒアルロン酸注射は関節液の粘弾性を補い、膝の動きをなめらかにして痛みをやわらげることを目的とした治療です。すり減った軟骨が元に戻る治療ではなく、効果の程度や持続期間には個人差があります。効果の評価は日本整形外科学会のガイドラインとAAOSのガイドラインで異なります。
回数や間隔は製剤によって異なります。効果がないまま漫然と続ける治療ではありません。
注射後に膝の強い腫れ・熱感・赤みがある、痛みが増している、膝をほとんど動かせない場合は、発熱の有無にかかわらず、すぐに注射を受けた医療機関へ連絡してください。息苦しさや意識がもうろうとする症状が出た場合は、すぐに119番通報してください。
膝の状態に応じて、注射に運動療法や体重管理、装具、内服薬などを組み合わせ、効果を確認しながら治療を進めます。膝の痛みが続いている方、注射を続けるか迷っている方は、志木新成メディカルクリニックの整形外科へご相談ください。
志木新成メディカルクリニックは、
朝霞市にあり、東武東上線「志木駅」から徒歩4分、駐車場も完備。
朝霞市・新座市・志木市などの近隣からだけでなく、電車でも車でも通いやすいクリニックです。



